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2018年に見たブルーレイ3D


最近ようやく3D表示のできるテレビを買ったので、夜な夜なブルーレイ3Dを楽しんでいます。
そこで、見たソフトについてその良し悪しを書いていこうと思います。





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A Very Harold & Kumar 3D Christmas 2011
「ハロルド&クマー~クリスマスは大騒ぎ」

ハロルドとクマーというキャラクターはアメリカに住む韓国人とインド人のコンビで、この二人が起こすドタバタコメディです。奇妙な取り合わせの二人組は人気のようで、これがシリーズ三作目です。ただやはりアメリカ人でないとわからないようなギャグばかりとみえてわが国では知名度は無く、劇場公開はおろかビデオソフトも出ていません。この三作目は2D版がWowowで放送されたことがあるようです。

大麻でハイになってバカ騒ぎをするという内容は先週見た「Sex Pot」とも共通するもので、「マリワナコメディ」というようなジャンルがあるのかどうかは知りませんが、この二本を見るとどうもそういうイメージのカテゴリーが存在するんじゃないでしょうか。チーチ&チョンあたりから続いているようなものかもしれません。
考えてみたら大麻と麻薬の区別さえついていないわが国ではとても受け入れられる土壌はありませんから、ソフト化されていないのもうなずけます。Wowowよく放送できたもんです(笑)。クリスマスものなんでどさくさに紛れて深夜にでもかけたんじゃないでしょうか。

話はやはり徹底的に下品で低能なアメリカンコメディそのものです。下ネタも多くて、男性器をもろに写すカットもいくつかあります(もちろん作りものながらけっこうリアル)。そのうえ赤ん坊にコケインや大麻を吸わせるような過激なジョークもあったり、唐突に始まる粘土アニメでは通行人が怪物に胴体を真っ二つに引きちぎられるスプラッターだったり。さらにはサンタクロースをショットガンで撃ち落とすわ、死んで昇天したら天国はトップレスクラブで、そこにいたイエスは酒浸りで遊び呆けているわでもうむちゃくちゃです。
しかし全体にテンポはいいとは言えず、せりふはあまり聞き取れなかったとはいえやはりB級には違いなくて、とてもファレリー兄弟やベン・スティラーの域には達していません。

ただ「Sex Pot」のような超低予算映画とは違ってちゃんとしたプロダクションではあります。なにしろニュー・ライン・シネマ作品ですからフィルムのクオリティは高いんですね。
主演の二人はあまりなじみがありませんけど、韓国人のほうはなにかで見たことがあるなと思ったら新しいほうの「スター・トレック」の乗組員でした。ほかにダニー・トレホや、久しぶりで見たエリアス・コーティアスがロシアンモブの役で出てます。パッケージ写真の中央に写っているのは向うで人気のエンターテイナー、ニール・パトリック・ハリスで、本人役で出てきて歌って踊るシーンがあります。

映像はきれいでいいとはいえ、肝心の3Dのほうは今ひとつですねこれ。パナヴィジョンのステレオカメラを使ってあるものの、大半の場面で奥行きがあまり感じられません。室内のシーンが特にそうで、見ていて変換3Dかと思いました。グリーンバック撮影のCGIによる3D効果がうまくいってないのかもしれません。




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Sex Pot 2009

いわゆるエロティックコメディで、ポルノというほどではありません。アメリカでも劇場公開なしでDVDとしてリリースされたオリジナルビデオ映画です。
テーマはタイトルどおりセックスとマリワナです。主人公は丸出だめ夫の高校生二人組で、つるんではどこからか仕入れた質の悪い草を吸ってハイになり野郎ふたりで乱痴気騒ぎをして過ごすというありさま。
あるときアパートの隣の部屋に住む変態ガールズと知り合い、そのつてで某所で行われるマリワナパーティに突撃することに…という他愛のない話です。B級映画どころかEマイナスくらいの代物なんですよね(笑)。

それにしてもとにかく下品なギャグのオンパレードですから、せりふがわからないのがかえって良かったと思えるほどです(笑)。もちろん知った俳優など一人も出ていません。たぶん一万ドルくらいの制作費でちゃちゃっと作ったんでしょう。
当然わが国にはまったく輸入されてなくてallcinemaにもデータが載っていません。監督は聞いたこともない名前の人なんですが、この人が監督した映画で日本版のビデオが出ているタイトルを見ると、「メガ・ピラニア」「ゾンビ・オブ・ザ・デッド~感染病棟」「エイリアン・シンドローム」となってます。筋金入りのB級監督です。
しかしエド・ウッド以来脈々と連なるB級映画の系譜は、こうしたトラッシュコメディにもちゃんと市場があることを示しています。意外と大手映画会社がやっている博打よりも、細く長く堅実に利益の出る商売なのかもしれませんね。

それはさておきこの映画、いちおうステレオカメラで撮影された部分もあるとはいえそれは一部で、半分以上は2D撮影だという実態でした。しかも自動変換ソフトを使っただけのようなので、その変換3Dのシーンときたらひどいものです。どうせ低予算映画で3D変換のわけがないと思ってブルーレイ3Dを買ったのは失敗でした。
メイキングを見るとコンパクトタイプのHD3Dカメラではなく、巨大なユニットに組み込まれた二台のカメラで撮ってますから、これが持ち込めない室内や車内のシーンは全部変換ですね。
しかし屋外で3D撮影されたシーンには、おっこれいいねという感じのもあることはありますから、100%ダメダメというわけでもありません。90%くらいダメなだけです(笑)。画質自体はビデオビデオした感じではなく意外と良くて、色も美しいです。





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Asterix et Obelix : Au service de Sa Majeste 2012
「アステリックスの冒険~秘薬を守る戦い」

フランスのコメディです。向こうで人気のカートゥーンの実写版でシリーズ化もされており、その四作目が3D映画になっています。子ども向けかとも思ったら映画はそうでもない作りになっていて、幅広い年代に人気のあるまんがのようです。
でぶっちょで怪力のオベリックスをジェラール・ドパルデューが演じています。久しぶりで見ました。相棒のアステリックスのほうが主人公で、エドワール・バエールという見たことの無い俳優です。しかしブリタニアの女王にカトリーヌ・ドヌーヴ、ユリウス・カエサルにファブリス・ルキーニ、他にもジャン・ロシュフォールがちょい役で顔を出すなどフランスのおなじみの名優が出ているところは嬉しいですね。

ブルーレイ3Dの日本盤は当然ながら出てません。わが国では劇場未公開ながら意外と2D版はDVDが発売されておりレンタルもあります。
それでも二度も見る気はしませんから字幕無しでの鑑賞です。しかしアクションものやホラーならせりふがわからなくてもだいたい筋は理解できるもんですが、コメディそれもフレンチということになるとさっぱり面白くもなんともありません(笑)。日本語わからない人が漫才見るようなものでしょうか。
オリジナルのまんが本は日本語訳も出版されたらしいですが、ウィキペディアによるとフランス語以外に翻訳するのが困難なギャグ満載らしく、各国語版は独自のセンスを盛り込んだもののようです。

3Dのほうは標準的な出来で特筆するほどのところは無いとはいえ、ちゃんとステレオカメラで普通に撮影してあっていい感じの立体感です。映像のクオリティは高く色彩も鮮やかですから楽しいことは楽しいです。
舞台となっているのは古代ヨーロッパで、ローマの属州に囲まれた小国に住む主人公らと攻めてくるカエサル軍との一進一退の攻防というのがシリーズを通じたストーリー展開だそうです。バイキングふうの一群も登場します。
ホビット庄みたいな村のセットをはじめ、アイルランドやマルタ島などのロケ撮影はやはり素晴らしい景色ですね。字幕付きで見たかったものの、おそらくものすごくユルいギャグの連発なんじゃないでしょうか(笑)。





181118


「トランスフォーマーズ~最後の騎士王」 2017
Transformers: The Last Knight

これが五作目ですね。今回もマイケル・ベイが監督しており、前作「ロストエイジ」(2014)に続いてマーク・ウォルバーグが主演しています。相変わらずふざけ半分のほとんど意味の無いせりふとただ見得を切るだけの芝居に終始しておりますます退屈です。
映像のほうはほぼ全編にわたってものすごいレベルの出来ばえになっており、まさに動くスペクタキュラー絵画です。ただし物語や演出に実が伴っていないためなんの感動も引き起こしません。

ストーリーはあることはありますが、ほんとどうでもいいような作りの話になっていて、地球滅亡の危機が迫っているにもかかわらず見ていてもぜんぜんその危機感が無いんですね。クライマックスで惑星衝突規模の巨大な物体が今まさに落ちてきても、「あーあれ。ふーん」「それで…もう終わった? あそう」という感じにしか思えないというのは、完全に演出の不足です。
おそらくベイも、こんな同じのばかり続けていても面白くなくてあまりやる気はなかったんじゃないでしょうか。とはいえ制作費は潤沢にありますから、それじゃあと好きなだけ映像のクオリティを上げることのみに注力した結果だろうと思います。

そのため3Dもやはり素晴らしいものになっています。基本的にベイは実写できるところはCGではなく実写でやってますから、廃墟の中や広い草原でのアクションシーンなどは、奥行きのある非常に効果的な立体映像になっています。ディジタルアイマックスカメラも使っているようで、精細画質です。
ただ今回もやはり編集がものすごく細かくて、いい絵でもじっくり見ることができないところは惜しいですね。

いい役者も呼んであります。アンソニー・ホプキンズが重要な役回りで演じているし、スタンリー・トゥッチも出てました。ただトゥッチは変装していたのでそれとわからず、エンドクレジッツであれっと思い見返したらアーサー王伝説のくだりで魔術師マーリンの役でした。またジョン・タトゥーロはちょい役で何カットか出てきます。

このブルーレイ3Dも輸入盤です。UK盤ですが三十カ国語くらい収録してあるマスターで日本語も入ってますから安く買えて良かったです。ボーナスディスクにも日本語字幕が入れてあります。





181111

「ヘンゼル&グレーテル」 2013
Hansel & Gretel: Witch Hunters

どちらかというと子ども向けのアクションファンタシーで、「ハリー・ポッター」好きの層をターゲットにしたような映画です。ヨーロッパのレイティングでは十六歳以上になっています。わりと激しい暴力描写があり、首が飛んだり血煙が上がったりしてグロテスクなんですが、ストーリー自体はおとぎ話の仕立てです。グリム兄弟の童話を基に、兄妹が成長した後に魔女ハンターになったという話にしてあります。
ところがパッケージ写真などにもある通り、装束は現代ふうなうえ銃でドンパチやったりするんですね。ショットガンやらガトリング砲、スタンガンまで出てきて荒唐無稽もいいとこです。ちょうど日本の時代もので変てこないでたちで奇妙なかつら被って出てくるような、「仮面の忍者赤影」のような感じです(笑)。

ヘンゼル役のジェレミー・レナーは最近人気者ですね。「ハート・ロッカー」で注目され「ミッション・インパッシブル」の近作や「ボーン・レガシー」、マーベルのアヴェンジャーズでは弓矢使いのホウクアイで目立ってました。独特の雰囲気を持った俳優で、今回のアクション版ヘンゼルもうまく演じています。
グレーテル役の女優は初めて見ました。ほかにピーター・ストーメアとファムケ・ヤンセンが出ています。

監督は若い人で北欧出身の新人です。サンダンスで「処刑山~デッド・スノウ」というのが注目されてのハリウッドデビューだそうで、脚本も書いています。グリム童話は身近なものだったわけですね。
やはり映画おたくとみえて映画作りにはポリシーが感じられます。劇中重要な役割を果たすのがトロールで、見かけは完全に化け物です。これがえらく出来の悪いCGだなあと思って見ていたら、後でメイキングを見て驚いたのがこれが全部アニマトロニクスで実写だったんですねーびっくりです。
今どき人が中に入って操演する着ぐるみ式のアニマトロニクスのクリーチャーとはあっぱれです。特殊効果スタッフはさぞ大喜びで腕をふるったたことでしょう。完全に独立して二足歩行できる着ぐるみを作ってありました。

この映画、ステレオカメラでの撮影と変換3Dとが半々で作ってあります。どこが本物の3Dでどこからが変換なのか見分けが付きにくいですけど、動きの速いシーンで変換3Dを用いてあるようです。
それでバランスをとるためか低年齢層対策か、全体に立体効果の小さい3Dになっており面白味はありませんでした。森の中の場面や菓子でできた家など、3Dで見せ場になりそうなところはいくつもあるものの、暗すぎたりちゃんと奥行きが出せてなかったりしてあまりぱっとしません。

これのブルーレイ3Dは日本盤も出ているとはいえ、高額なスティールブック仕様のデラックス版でしか買えないようになっています。
それで調べてみたらヨーロッパ盤が日本盤と同じマスターのようで日本語字幕が入っており、通常版として発売されてました。アマゾンでイギリス盤を送料込みでも千円ちょっとで買うことができました。どれもこういうふうにしてほしいもんです。






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Universal Soldier: Day of Reckoning 2012
「ユニヴァーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録」

ヴァン・ダム映画です。ヴァン・ダム出演によるシリーズとしては四作目となるもので、当然愚にもつかない低能アクションものだろうと思っていたところ、見てみるとこれが意外や意外、B級映画ではありませんでした。
撮影のクオリティは高く、画面の醸し出す雰囲気は緊迫感があって演出も優れたものがあります。特にカーチェイスと一対一のファイトシーンの迫力は超一流です。セックスシーンやバイオレンス描写も容赦なく、レイティングはR18+です。すごいです。

このシリーズ、1992年の一作目と99年の続編はロードショウで見ました。一作目はB級SFアクション、続編ともなると御都合主義的お子様ランチで、さすがはヴァン・ダムと妙に納得したものです(笑)。もちろん三作目は見ていません。
それでこの四作目はちゃんとステレオカメラで撮影された3D映画ですからしかたなく見てみたわけですけど、やはり実際開けてみないとわからないもんですね。掘り出し物でした。

ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンは物語のキーマンではあるものの映画の主役はこの二人ではなく、別の新型ユニヴァーサルソルジャーなんですね。そこが良かったのかもしれません(笑)。
話はSFはSFなんですが、セットや衣装小道具にそれっぽいものは使われておらず、まったくの現代劇として描写してあります。基本設定はすでに見る者すべてわかっているはずという前提ですから余計な説明なしでいいですね。

主人公は偽の記憶を植え付けられ大人の体で創造されたクローン兵士です。しかしある目的をもって作られ、兵隊として戦場に送られることなく社会デビューします。
偽の記憶というのが、妻子ある幸福な家庭人であり、普通に職業を持って生活しているというものです。ところがある日何者かに押し入られ妻子を無残に殺されてしまい、自分も大けがを負って何カ月も昏睡状態に。やがて目を覚ましてからは、放心状態のまま孤独な日常を過ごすことになりました。

その後、妻子を殺した首謀者の手がかりをつかむことができてからは復讐に燃えるヒーローと化し大捜査開始。ところが次から次に奇妙な事実が浮かび上がってきて、だんだん自分が何者であるのかがわからなくなってくる…というサイコスリラー仕立てになっています。
このへん映画はデイヴィッド・リンチ的な不穏な空気が漂っています。演出はリンチやコーエン兄弟を参考にしているようで、それは成功しています。不協和音的な音楽をバックグラウンドに常に流しているところも効果が出ています。

そうなると3Dもやはりけっこういいんですね。立体描写に徹しているというほどではないものの、要所要所でおっこれいいねというような3Dのカットを見せます。広い道路を疾走してくる車や密林の中の大きな川のシーンなど、大きな空間をぱっと見せるところは3Dならではの開放感があっていいんですね。「シャイニング」の斧でのドア破壊の再現も、立体での見せかたが抜群です。
この映画も日本盤のブルーレイ3Dが出てないため、あらかじめせりふの確認のためにレンタルでも見ました。これはブルーレイディスクのレンタル版が出ています。

ジョン・ハイアムズという若い新進監督です。作家性はあまり感じられないものの、随所でポリシーのあるところを見せておりなかなかのものです。脚本にも参加しています。
ラストで「地獄の黙示録」になってしまうのがご愛嬌なところがありますが、しかしおおむねハイレベルな映画として成り立っており、この人が監督した三作目もちょっと見てみようかなと思います。今後に期待できる才能の持ち主かもしれません。




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Spiders 3D 2013

もう一本生物パニックものがありました。五年前のアメリカ映画ですけどまるで聞いたこともないタイトルです。わが国では未公開でビデオソフトすら出ていません。
それくらい箸にも棒にもかからないようなゴミ映画かというとそうでもなく、わりとまともな作りにはなっています。
ロシアの宇宙ステイションで変異し凶暴になったクモが地球に飛来、地上で巨大化してクモの子を散らすように広がっていくというウルトラQ状態です。
どれほど巨大かというとスバル360くらいの感じです。まあバット持って立ち向かえないこともないという大きさですね。これが地下鉄の廃作業場で繁殖してイッキにうじゃうじゃ出てくるわけです。もちろん人を食います。

主人公は地下鉄のオペレイションルームの責任者で、初期段階から事態を把握しているためストーリーの中心となって動いていきます。これに軍がからんできて暗躍し始め状況を悪化させていきます。
字幕なしで見ているので当てずっぽうなんですが、ロシア出身の研究者が軍の手先となって働きますから、どうやら元はソ連が宇宙で開発していた生物兵器というようなもののようです。これをアメリカ軍がいただいて自国の兵器として利用しようとしたという話みたいですね。
見ていてよくわからなかったのが、なぜかこの地下鉄マンが軍から重要人物としてマークされ家族を拘束されるまでしてしまうようなところで、そのため主人公は巨大グモと軍と両方と闘わなくてはならなくなってしまいます。
まあそんなような流れで、最後になって東宝の怪獣サイズの女王グモが登場します。

こういうストーリー展開で、面白く演出されていれば良かったんですけど面白くありません(笑)。なんというかテンポがトロくてぜんぜん宇宙グモが怖くないんですね。見ていてクモにもっとちゃんとやれと突っ込み入れたくなるくらいもたもたしていてパニックサスペンスになっていません。
クモはすべてCGで、デザインが今ひとつというところです。本物の蜘蛛をそのまま巨大化して描くと本当に怖すぎる見かけになるため適度にデフォルメしたというような感じです。ところがそれがただグロテスクなだけでまんがみたいな絵になっており、ここらへんのさじ加減は難しいんでしょうね。
パッケージ裏にある、自由の女神からマンハッタン島にかけて大きな蜘蛛の巣を張ったシーンは劇中にはありません(笑)。

3Dのほうももうひとつシャキッとしてなくてまあフツーとしか言いようがありません。変換のシーンもいくつか見受けられるものの、基本的にステレオカメラで撮ってあります。
ニューヨークの地下鉄の構内やマンハッタンの街頭(たぶんセット)はうまく撮れば立体感はよく出せるはずなのにそうなってないんですね。いいカットもいくつかあるとはいえ全体には平板な3Dになってしまってます。
でも女王グモが地中から現れるシーンは日本の特撮ものを彷彿とさせる雰囲気があって、ここはなかなかいいですね。おそらくミニチュアセットで撮ってあり、ほどよいチープさが出ています。
ただCGのレベルがそれほど高くなくて、実写とのバランスが良くないです。3Dの実写映像とのCGI合成というのはわりと難しいのかもしれません。






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「ピラニア・リターンズ」 2012
Piranha 3DD

今度はピラニアものです。1978年にジョー・ダンテが監督した「ピラニア」というパニックものがあり、それをリメイクしたのが2010年の「ピラニア3D」です。それで今回見たのはそのまた続編というわけですね。
2010年のは3Dといっても変換なんで見てないんですよ。ところがこの続編はちゃんとステレオカメラで撮ってあります。別にシリーズとしての「ピラニア」が好きだというわけではないので、前作まで見る気はありません(笑)。

ついでに言うと78年の「ピラニア」にも続編があり、これがジェイムズ・キャメロンのデビュー作「殺人魚フライングキラー」(1981)です。超低予算映画であり、すべてが不本意な状況だったらしく、キャメロンにデビュー作のことを聞くと怒り出すということで知られています。私はダンテのは見てないんですがキャメロンのはビデオで見ました。聞かれて腹が立つ気持ちもよくわかるというものでした(笑)。

さて今回見た「リターンズ」、話は前作の後日譚というものらしく、引き続いて出演している俳優もいます。意外なことにウルトラB級映画のくせに一流俳優を何人か呼んでるんですね。前作にはリチャード・ドレイファスやエリザベス・シューが出ており、ちょい役かそうでないかはわかりません。2010年に続いての出演はクリストファー・ロイドとヴィング・レイムズですね。あとゲイリー・ビジーもいるのと、テレビドラマの「ベイウォッチ」で有名らしいデイヴィッド・ハッセルホフという人がセルフパロディをやってます。

ピラニア騒動でゴーストタウンと化した湖の観光地から少し離れた町が続編の舞台で、そこで大規模なプール遊園地がオープンします。経営者は金儲けのことしか頭にない、絵に描いたような強欲な人物。主人公はその義理の娘で海洋生物学を専攻する大学生です。
当然ながらおおぜいでにぎわうそのプールに殺人ピラニアが出てくるわけで、いちおうその理由も説明されますがまるででたらめな理屈です。

そもそもこの映画、コメディなんですね。それも愚劣極まる下品な悪ふざけで占められており、どうも前作からそういうテイストのものみたいです。知らずに見ていたら前半はわりと普通に始まるんですよ。まあどうせばかげたB級アクションだからってんで面白半分のシーンも見過ごしてたんですが、ところが途中からだんだん調子に乗ってきて下ネタや楽屋落ちギャグの垂れ流し状態になってきます。
さすがにここまで程度の低いものを見せられると辟易しますけども、所詮はゴミ映画なんだしそんな目くじら立ててもしかたないという気もします。

ただ、パッケージやポスターアートはホラー映画のような雰囲気を出しておいて実はとんでもないバカコメディだというようなところ、その手を好む者も多くいるようでこれ人気作なんですね。前作もおそらく同様な理由でヒットしたんでしょう。
そのため日本盤のブルーレイ3Dが出ています。せっかく久しぶりで字幕付きを見ることができたのにその映画がこれじゃまったくトホホです(笑)。

それでも3Dのほうが見栄えが良ければ救いもあるってもんですが、たいしたことないんですね。まぶしい陽光のもとで撮影してあって色は非常にカラフルかつ鮮明でいいものの、立体効果はあまり出せていません。
原題は「Piranha 3DD」となっていて、このDが二つある意味が不明です。おそらく3Dの上をいく4DならぬダブルDだとかいうようなノりなんでしょう。つまりそれだけ観客をばかにしているということで(笑)、3Dの出来ばえなど二の次だったんでしょう。





180916

Bait 2012
「パニック・マーケット」

もう一本サメものがありました。これはオーストラリア映画ですね。ベイトてなんだろうと調べたら、餌という意味の英単語でした。
わが国でも劇場公開されていて、邦題にはサメを思わせる語が使われてません。「パニック・マーケット」というのも確かにこの映画の内容を表しているものの、シャークだのジョーズだのと盛り込まなかったのは配給会社の苦心の作ですね。正確に表すとすると「シャーク・パニック・アット・スーパーマーケット」です。でもそれだとなんだかよくわかりません。

どういうことかというと、海岸沿いのショッピングモールに入っているスーパーが映画の舞台です。あるとき大地震があり、巨大津波がこの海岸を襲います。昼間ですからおおぜいの客がいて、押し寄せた波で店内はさながら地獄絵図。しかし地震と津波の描きかたはあくまで最小限度にとどめ、映画は人の背丈ほどの水位に浸水した店内に取り残された人々のそれからを描いていきます。
でまあ、ここにサメが迷い込んできているわけで、商品棚の天板に登って辛くも助かった人たちが、今度は人喰いザメの恐怖にさいなまれるというしつらえです。

とこういうプロットを読んでも、特段面白そうだとは思えませんよね(笑)。実際これがあまりにユルい演出で、見ているこっちもたるんできます。やはりサメの怖さが今ひとつ出せてないんですよ。
ここでのサメはあくまでも猪突猛進してくるだけのマシーンで、意外な戦法はとってこないためにあまり怖くないのかもしれません。でも一カ所だけ、スーパーのマネージャーが食われた場面だけは思わず「うわあー」と声をあげてしまいました(笑)。

アクションのタイプはどちらかというとアスレティックゲーム的なものです。天地逆さまではないとはいえ「ポセイドン・アドヴェンチャー」のような、いかにして困難な状況から脱するかというのがテーマです。
水に入ったら即刻サメに食われる/足場は不安定/ぼやぼやしてると漏電して全員感電死/物資は少ないもののスーパーなんで意外と役に立つものがプカプカ浮いている…などといった状況設定によるタイムトライアルってとこです。

ところが3Dのほうはけっこう力が入っていて、全編にわたって強烈な立体感を味わうことができます。それはもう、意地でも全カットを3Dにしてみせるというような執着心さえ感じられるほどで、なにげないシーンでもかなり立体感を強調してあります。
つまりその場の空間を自然な奥行きで見せるというものではなく、あくまでもアトラクションとしての3Dを見る者に体感させるという過剰なサービス精神のようです(笑)。監督は知らない名前ですけど、B級スピリットにあふれた人みたいですね。

実はこれ日本盤のブルーレイ3Dが出てるんですね。ところが私ときたらそれに気づかず、どうせそんなもの出てないに決まってるとばかりにさっさとアメリカ盤を買ってしまいました。パッケージデザインもタイトルも全然違ってますから、ぱっと見にはわからなかったんですよ。
それで今回も字幕なしで見ましたから、せりふを聞かないとわからないような細かい話はわかりませんが、まあでもだいたい問題無く楽しめました。
先週見た「Shark Night」とどっちが面白かったかといえば、そうですねー先週のが少しましかなと思います。でもこの「Bait」も決してゴミ映画というほどではなく、デートコースに見るにはぴったりかもしれません。



180909

Shark Night 2011
「シャーク・ナイト」

この手合いのが何枚かありますので、今月は動物パニックもの月間とします(笑)。
聞いたこともないような映画だったんですが、監督が「ファイナル・デッドサーキット」(2009)の人ですから、ちゃんとステレオカメラで撮ってあるんですね。サメアクションというと動物パニックものの本道ともいえるジャンルです。
まあどうせしょうもない映画に決まってるだろうと思っていたところが、見てみると悪くない出来ばえなんですね。少なくとも「ジョーズ3-D」よりははるかにましです(笑)。
わが国でも劇場公開されてますけど2D版のみだったようですね。ブルーレイ3Dもやはり日本語版は出てませんので輸入盤を買いました。わざわざレンタルDVDでせりふの確認まではしませんでしたから例によって字幕なしでの鑑賞です。

まずその舞台となるところが一見すると大きな川のようで、ちょうど「大アマゾンの半魚人」とよく似た感じです。でもそうなるとサメがいるわけないので、どうしてなんだろうと首をひねりながら見てました。そのへんはせりふがわからないとちょっと困るところではあります。
「大アマゾン」は原題を「Creature from the Black Lagoon」といいますから、あとで「ラグーン」の語をウィキペディアで調べてみました。そうするとラグーンとは「湾が砂州によって外海から隔てられ湖沼化した地形」だそうで、また多くの場合、ラグーンは塩湖だということです。
しかし塩水だとしてもサメがいるというのはちょっと…と思っていたら、どうも劇中でもやはり、そんなバカな、というふうに描いてあったみたいです。あり得ないようなことが起きて登場人物たちが驚愕していたんですね。

サメパニックものの場合、普通に考えて人は陸に上がってさえいればなんてことないわけですが、それじゃ映画になりません。言ってみればこのジャンルでは、いかにして登場人物を海中に投ずる理由を付けるかにかかっているってことですね。
で、この映画ではそのへんをわりとうまくやっています。悪者のサイコ野郎が出てきて、こいつらが主人公たちを海に落としてしまうんですねーひどいですね。
というのも後半でその仕組みがわかってきて、実はこの者どもが密かにサメを塩湖で飼育しており、旅行者を捕まえてサメに食わせその模様をビデオに撮ってスナッフムーヴィーを作っていたというものです。
前半がパニックアクション、後半で犯罪スリラーという構成に工夫してあって一本調子でないところがなかなかいいです。

それよりも、肝心のサメのアクションシーンですね。これがけっこう怖いんですよ。
サメ自体はCGも多用してあって、まあちょっと安っぽいといえば安っぽい。しかし大事なのは演出であり、逃げる登場人物があわやというところまでサメに迫られるチェイスシーンのタイミングや、床下の水槽に間近に大ザメが泳ぐところなどは肝を冷やします。
低予算の映像でも演出によって恐怖を描くことができているところ、このデイヴィッド・R・エリスという監督はB級専門とはいえ捨てたもんじゃないですよ。CGはちゃちなのにアニマトロニクスには力を入れているというところも気に入りました(笑)。

さて3Dのほうはどうかというと、いいシーンとそうでないシーンに分かれます。意外と普通の場面がだめで、手前や奥をぼかしてしまってパンフォーカスになってないところが多く見受けられます。ここ変換じゃないのか? と思うところもちらほらあるほどです。
ところが水中撮影がこれが素晴らしいんですよ。実際に潜って水中カメラで撮影してあり、陸上のシーンが嘘のように見事な3Dになっています。先のほうまでフォーカスは深く、ゆらめく海藻や泡粒が鮮明に映し出されています。水面直下の色彩が抜群ですね。
ラストのクライマックスは、ケージに閉じ込められ水没したヒロイン救出の緊迫した場面です。ケージの鉄格子を破り頭を突き出したサメのアニマトロニクスは迫力があるし、それをアップで捉えた3Dは見ごたえがあります。水中になびく髪の毛の感じは意外と立体効果があるんですね。




180819

「ラビット・ホラー」 2011

「呪怨」の監督だというんで程度は見る前から知れてました。この人ひとつ前には「戦慄迷宮」というのも3Dで撮っていて、これはロードショウで見に行きましたけどまあほとんど寝ていたような有様であまり覚えてません(笑)。
今回のものもやはり芝居は学芸会だし役者も大根揃いだしで見るに堪えません。もちろんホラー度など無いに等しく、女子中学生向けのファンタシーといったレベルです。
じゃあ先週見た「Haunting in Salem」とどっちがヒドかったのかと問われると、それは難しいですねーどっちもシドいんで(笑)。でも「ラビット・ホラー」のほうが映像の点で優れていると言えますかね。

話題のひとつが撮影監督をクリストファー・ドイルが担当したという点です。王家衛(ウォン・カーウァイ)映画で知られるカメラマンで、初めのころは手持ちカメラでふざけて撮っているような非正統の手法でしたが、「ブエノスアイレス」(1997)や「花様年華」(2000)を見ると、真面目にちゃんとやれば実力のある人だったんだというのがわかりました。
それで今回の日本映画ではどうかというと、色彩がなるほどドイルカラーで独特です。夕日の中でのロケーションなどは美しい映像になっています。さすがに3Dということで手持ち撮影はしてませんね。

パナソニックが新開発したという小型のディジタルステレオカメラで撮影されています。通常の3D撮影は二つのレンズの間隔や照明の設定などの煩雑な作業が必要なところ、このカメラではそれらをかなり省略できる仕組みになっているらしいです。でもきっとその代わりに立体効果は多少犠牲になる、といったようなところがあるんじゃないかと思ってました。
しかし見てみると3Dは非常に良好で、特に屋外のロケ撮影では自然な立体感が出ています。機動性・コスト面で優れているのであれば多用してほしいものですが、現実的には今ではほとんどすべての3D映画が変換ものになってしまいましたからねー残念ですね。




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Haunting in Salem 2011

これまたひどい出来の映画を見ました。「呪われた家」ものです。意外と多いんですね。最近見た「悪魔の棲む家 Part 3」や「ザ・ホール」がそうでした。どちらもいい映画とはとても言えないものでしたけど、今回のはまったく箸にも棒にもかからないような代物で、高校のホラー映画研究会の自主制作というようなレベルです。
きっとテレビ映画、それも地方のケーブル局で制作したようなものだろうと思って後から調べてみたら、やはり劇場用映画ではなくビデオのみ発売のタイトルでした。東映のVシネマみたいなものですね。アメリカにもやっぱりあるんですねーそういう商売のしかたが。出演者はどれもまったく見たこともない俳優ばかりで、監督も若いアクション俳優が初めて監督を手がけたものみたいです。

建物は立派な木造屋敷で、おそらくセットではなく実際に建っている家を撮影に使ったんだろうと思います。最後に燃やさないのでそうだとわかります(笑)。
話は、地元の保安官がここで一家惨殺事件を起こし自分も不可解な死を遂げる、というところから始まります。その後やってきた後任の保安官もこの家に住むことになり、その新保安官一家が遭遇する恐怖体験が描かれます。
ところがこれがすべてどうにもこうにもしょぼいエピソードばかりで、ほんといちいち突っ込み入れる気にもなりません。見る側としては次の展開が予想できる範囲のものばかりです。つまりいわゆる “お約束” をなぞっているだけで、その演出にはまるで恐怖感が伴っていません。笑って見ることができればそれはそれでいいかもしれませんけど、笑えないんですね。これは困りました(笑)。なぜか地下室が出てきません。

当然ながらディジタルカメラ撮影で、ビデオ画質のままで仕上げてあります。しかしこの前見た「Scar」(2007)や「My Bloody Valentine」(2009)のように被写体が動くと輪郭がぶれて残像が出てしまうようなところが無く、このころディジタルカメラの性能が大きく向上したことが推察できます。
3Dはステレオカメラで普通に撮ってあって奇をてらうところが無いため、かえって良好な立体感が出ています。照明が上手いからなんじゃないでしょうか。こちらに向かって何かを突き出してくるような見せかたもあえて避けたようでもあります。そのへんB級映画の職人監督というわけではないからでしょう。
ひょっとしたらこの監督はホラー映画おたくかなにかで、そんな大道芸的な演出は好まずに、静かで抑制された描写をしてこそ恐怖感が表現できるという理論を持っているのかもしれません。音楽も仰々しいところが無いんですね。もしそうだとしたらそれはまったく正しいと私も思いますが、いかんせん力量がその水準に遠く及ばずで恐怖感がまるでありません(笑)。




180722

My Bloody Valentine 2009
「ブラッディ・バレンタイン」

2009年のロードショウのときに見に行きましたが内容はまったく覚えてませんでした。今回もう一度ブルーレイ3Dで見返して思うのは、また一年くらい経ったらきれいに忘れてしまうだろうなということです(笑)。
ガスマスクを被りつるはしを持った炭鉱夫姿の大男というのが殺人鬼の造形です。ウィキペディアによると1981年のカナダ映画「血のバレンタイン」のリメイクだそうです。本作ではラストシーンがいかにも「つづく。」という感じで終わるなど、レザーフェイス・ジェイソン・フレディに続く新たな恐怖のイメージ像を作ってひと儲けしようという意図は明白ながらいかんせんぜんぜん怖くない殺人鬼なんで、結局ほとんど認知されないままとなってしまいました。

なぜ怖くないかというと、映画の筋立てがこの覆面の殺人者の正体はいったい誰…という謎解きのミステリー主体のため、理屈抜きの恐ろしさが出せていないからです。監督も自分の力量はわかっているようで、難しいホラー演出に力を割くのは初めからあきらめて、その分スプラッターの部分に全力を傾注するよう割り切ったんだろうと思います。この監督、以前見たニコラス・ケイジの「Drive Angry」(2011)の監督でした。モロにB級の人なわけです。
その謎解きにしても、最後の最後で正体が明らかになっても、あーなんだその手かよといった程度で特に驚きはありません。

殺人鬼の武器はもっぱらつるはしです(一回だけスコップで人の顎から上と下を切り離すのが例外)。これを振り回し突き刺しまくるため顔の反対側からつるはしの先がニョキッと飛び出したりするなどの描写ばかりです。まだCGIは多用しておらず、シリコーン製の人形が使われています。メイキングを見るとこれがすごくよく出来てるんですよ。映画本編で見るよりボーナスのメイキング映像のほうが面白いです(笑)。

先週見た「Scar」(2007)同様、これもディジタルカメラで撮影してあります。フィニッシュまでビデオ画質のままで制作した「Scar」と比べると、画質をフィルムに近づけてありますから多少軟らかさのある映像です。しかし、やはり静止画に近い絵のときは鮮明でいいんですけど、被写体やカメラが動き出すととたんに残像が出てぶれてしまうところは「Scar」とまったく同じです。ひょっとすると同じ機種のカメラを使ったのかもしれません。2009年ころはこれが標準だったんでしょうかねー。

でも3Dは悪くない出来ばえです。惨劇の起こる坑道などは奥行きのあるシチュエイションで、暗さに強いディジタルカメラにはうってつけのセットだと言えます。
また意外とロングショットにいい場面があり、空撮で田舎町を俯瞰するところなどは良好な立体感が出ています。クローズアップも動きが少ないカットは素晴らしい3Dになっていますね。
ただこの監督は昔ながらのB級3Dが好きみたいで、さかんにカメラに向かってものを付き出してきます(笑)。たしかにこの手の映画の観客が望むことでもあるでしょうからね。立派です。




180715

Scar 2007
「ペイン」

猟奇スプラッターであることはパッケージを見ても一目瞭然なんですが、実はこの口裂け女は劇中には出てきません(笑)。ある意味で伝統的な興行の手法で、このパッケージやポスターなどの宣伝イメージが「ソウ」シリーズの雰囲気を連想させる二番煎じになっているところ、すでにある種の流れが業界にできているようです。
話自体は「ソウ」とはまったく違っており、猟奇版の「スクリーム」といった感じですかね。今回も輸入盤の字幕なしで見たためストーリーは大ざっぱにしかつかめないものの、まあだいたいわかりました。ドラマや推理ものだとそうはいかないですけど、アクションものやホラーのようなのは話が単純で画面を見ているだけでけっこうわかるものなんだなというのは最近の発見のひとつです(笑)。

主人公はティーンエイジャーの頃に変質者に友人とともに拉致され、快楽殺人の標的となってしまった女性です。凄惨な無麻酔外科手術で殺されかけ、死にたくなかったら自分ではなく友だちを殺すよう言えと強要され、恐怖のあまり心ならずもイエスと言ってしまった主人公は、すきを見て逃げ出し助かってからも長くPTSDに悩まされています。
それが娘が当時の自分と同じくらいの年頃になった今、再びその殺人鬼が蘇ったかのような謎の連続殺人が起こります。そのため強烈なフラッシュバックが起き、悪夢と現実の見分けもつかないくらい混乱する中、自分の家族にもその魔の手が迫ってくる…というサスペンスストーリーですね。
ただし初めの恐怖体験の場面がそれほど怖い演出にできていないため、見ていても新たな事件に恐怖心が感じられないというところが全体のユルさにつながっています。ただ主人公だけが恐れおののき騒ぎ立てるだけという、陥りがちな観客不在のパターンになってしまってます。

それはさておき、映像には特徴があります。HDディジタルカメラで撮影されそのままの質感の映像に仕上げてある映画なんですね。
近年の映画はディジタルカメラで撮影されるのが主流となっていますが、その多くは映像の質感をフィルムに近い印象になるよう工夫してあります。コマ数を変えたり照明の具合でもだいぶフィルムぽくなるらしいですね。ディジタル撮影そのままの映像だと、要は生中継のビデオ画面のような、現実的で生々しい代わりに安っぽく見えてしまう性質があります。テレビドラマみたいな感触です。
ところがこの映画、HDカメラといってもあまり高品質のものではないみたいで、動きの無い静止画に近い画面のときはいいんですけど被写体が動くととたんに残像が出てしまい、まるで以前の液晶テレビモニターのような感じです。当然カメラがパンしても同様ですから、要は全体に絵が細かくブレまくっているわけです(笑)。2007年当時はこれが精いっぱいのレベルだったんですかねー。

ただし3Dのほうは、生々しい感触の画質だけに立体効果はよく出ています。墓地や森の中、パーティ会場などの開けた屋外の様子は奥行きが感じられるし、顔を接写して傷を見せるクローズアップ画面も非常にリアルです。何度か出てくる壁のハト時計ならぬブタ時計もポコッと飛び出した感じがよく出てます。
夜の野外パーティでは、手前の被写体からずっと向こうにいる人たちまではっきり見えてますから、少ない光量でも明瞭に写るディジタルカメラの特性が生かされています。つまり大がかりな照明機材でなくとも撮影できるわけだしカメラ自体も小型軽量ですから、3D映像はフィルムカメラよりもディジタルカメラのほうが有利であることがわかります。
これでもし変換3Dの技術が発達してなかったとすれば、これからもステレオディジタルカメラによる優れた立体映画が作られていたでしょうけどそうはならなかったということです。惜しいですね。







180708

Saw 3D 2010
「ソウ・ザ・ファイナル3D」

猟奇ものの人気シリーズで、当然三作目なんだろうと思ったらなんとこれが七作目です(笑)。
一作目(2004)はロードショウで見ました。そのころは選り好みせずなんでも見ていたからですけど、なんともグロい内容で辟易しました。「セヴン」(1995)の影響濃い加虐嗜好のスプラッターですね。
「マッド・マックス」(1979)で、数分内に爆発する仕掛けにチンピラの足を手錠で括りつけたうえ、助かりたいなら自分で足をちょん切って逃げてみろと鋸を与えてその場を去るというあの演出。要はあれを増幅反復しRPG化したアトラクションムーヴィーです。

開巻早々、公衆の面前で公開処刑が行われます。三角関係にある男女が電動のこに固定され、自分一人が助かるか恋人を助けるかの選択を迫られるというシチュエイションを作り、結局恋人の裏切りを知った一方の男が怒りにまかせて女を死なせてしまうという、人の心の暗黒面を暴き出すといった体裁になってはいますが、もちろん深みなどは無く単なる見世物です。
その後も前までのシリーズ作での続きと思われるシークエンスがいくつもあり、こりゃ全部見てないとわからないなという感じを受けます。そのうえ字幕なしで見てるんでストーリーはさっぱりわからないものの、まあどうせ猟奇ゲームの様子を見せるだけのアトラクション映画ですからそれでもかまいません。

3Dのほうは変換ではなくいちおうステレオカメラで撮影してあります。しかし立体効果は今ひとつで、ほとんどの場面が薄暗く淡色でざらついた質感の映像にしてありますから、絵づくりの方針自体が3D向きではありません。工夫のしようはあったと思うんですけどね。
目に向かって凶器が突き刺さってくる描写があり、どうせならうおっと顔をそむけるような立体にすればいいのに、訴訟を恐れたのか(笑)ソフトな3Dになってしまってます。3D上映ならきっとすごいに違いないと期待させ切符を買わせてしまいさえすれば映画会社としてはそれでいいってわけです。

そんなふうなんで、いいとこぜんぜんありません。
それにしてもなんでわざわざこんなややこしい細工をして人を殺すのかねという素朴な突っ込みを入れたくなりますね。殺すんならさっさとやりゃいいじゃないかと。
映画を見ていてふと思ったのはエドガー・アラン・ポーの殺人振り子です。小説は読んだことがないうえどんな話かも知りませんでした。ちょっと調べてみたらタイトルは「落とし穴と振り子」という短編なんですね。異端のそしりを受けた主人公が振り子の刑にかけられる話で、夢うつつの中でなにやらいつの間にか死刑台に縛られている、というスリラーのようです。

こういった不条理な運命がある日突然わが身に降りかかるという物語は、洋の東西を問わず普遍的なものです。しかしキリスト教文化圏にあっては、やはりそれが神による罰に違いないという潜在的な畏怖が人々にあるはずですから、単なるイヴェント映画とはいっても無意識に恐怖心が募るというところが制作側の狙いなわけです。
中華文化圏やヒンドゥー、そのほかの土着の信仰のある国々がどうかは知りませんが、自然崇拝に仏教の教義の混じったわが国では、身に覚えのない災難は前世の報い・先祖の怒りだという潜在意識が元ですから、まあそれならお祓いしてなんとかカミをなだめる手もあります。しかし一神教ではそんなこと通用しませんので、まったく理由不詳のまま罰を受けなければならない。たぶん我々に比べるとその恐怖のレベルは一段高いものでしょうね。






180617

「サイレント・ヒル・リヴェレイション」 2012
Silent Hill: Revelation

原作はテレビゲームだそうで、これが映画化の二作目です。ゲームも映画の前作も知らないため、どんな話なのかさっぱりつかめませんでした。一作目を見ていないと筋がわからない作りかたになっています。
なんらかの恐怖体験から逃れてきた父娘は追手の目をくらますため名を変えながら各地を転々としています。どうもその恐怖体験というのが、娘が見る悪夢が現実になるというようなもので、その悪夢の舞台がサイレントヒルという町です。
そこにいる狂信的なカルトが悪者で、娘のほうが教団にとって重要な生贄となる人物であり、そのため執拗に追いかけてくるというわけです。

ただ、その悪夢と現実が入れ替わるルールや教団の教義などがよくわからないためストーリーに入っていけません。もっともこっちも入っていこうという気も無いのでかえって好都合です(笑)。
人気ゲームらしく映画もヒットしており、そのため日本盤のブルーレイ3Dが出ています。やはり字幕がちゃんと付いているのはいいですね。でもこんなどうでもいいような話の映画に字幕付いててもあまりありがたみはありません。世の中ままならぬものです。

ストーリーに興味ないのなら映像のほうを楽しみたいところですが、これがまた醜悪の極みと言ってもいいもので、ただただグロテスクなだけの化け物がこれでもかというくらい次から次に出てきます。
まあーこの手のが好きな人がおおぜいいるわけですからしょうがないですね。「ロード・オブ・ザ・リングズ」を見てもわかりますけど、ヨーロッパの伝統としていわゆるゴシックホラーの様式に根差した恐怖のイメージ、邪悪なものの造形の確立したスタイルがありますからね。
これが「悪魔のいけにえ」のような、伝統様式から外れた、作り手すらも意図してなかったような乱調の美が偶然生まれたときは素晴らしいんですけども。
しかしこの映画のような、ステレオタイプを積み重ねて作り上げるお約束の世界には、当然ながら意外な驚きはありません。ただ年代を経ていくごとにその表現が過剰になっていくだけです。

その代わり3Dは意外といいです。CGIがふんだんに使われているのは言うまでもありませんが、その割にグリーンバック撮影はあまり使われていないみたいだというところは好ましい点です。化け物はどれも人が演じているし、重要なステージである遊園地もちゃんとセットで撮影してあります。
メイキングを見ると監督は、予算が足りずやりたかったシークエンスをいくつもあきらめたと語っていますから、できる範囲でいろいろ工夫したんだろうと思います。その努力は映像にちゃんと表れていて、金をかけた贅沢な映像表現よりもかえってシンプルでいいんですね。
セットを組んで役者に芝居させそれをカメラで撮るというまっとうな方法を基本にしていることで、奥行きや立体感がありのままに出ているという感じです。部分的には変換のところもあったり、手前と奥のフォーカスを極端に外すなど不満なところももちろんあるものの、3Dについてはこれで充分という出来です。





180610

The Hole 2009
「ザ・ホール」

ホラーというよりはアドヴェンチャー・サスペンスという感じで、どちらかというと子どもが喜んで見る映画ですね。終始子どもの視点で描かれ、あからさまな怪奇現象が起こっているというのに大人には通報せず自分たちだけで解決しようとします。というより単に興味本位で首を突っ込みほとんど遠足気分というもので、コメディ度も三割くらい占めています。ホラー度はどうかというと三割にやや満たないというところでしょうか(笑)。

高校生くらいの兄と小学生の弟、仕事でいつも不在の母という三人家族がある一軒家に引っ越してきます。兄弟はこの家の地下室の床下に謎の竪穴が掘られていることをさっそく発見、これが底無しの暗黒ゾーンになっており、こりゃいったいなんだ…というところから話は始まります。
この前見た「Amityville 3-D」もやはり地下室の穴が恐怖の源となってましたから、欧米人にはわりとポピュラーな怖さのイメージなんですかね。

監督がジョー・ダンテです。大ヒット作もあるベテランでいちおう大物・一流とは言えるでしょうけど、結局巨匠にはなりきれなかったという感じの人です。ロジャー・コーマン門下ですから根っからのB級映画作家であり、「グレムリン」や「スモール・ソルジャーズ」など子どもオリエンテッドな映画を得意としているところはこの「ザ・ホール」でもその資質がいかんなく発揮されています。
ただこの映画、わが国では劇場未公開なんですねーどうしてでしょうか。そこまで出来の悪い映画というほどではないとはいえ、たしかに配給側からするとビミョーな線をいっているレベルかもしれません。

兄弟と隣に住む少女の三人が問題の穴を覗き込んで以来、さまざまな超常現象が起こるようになります。
少女は学校のトイレに閉じ込められ、そこで幼女の幽霊を目撃します。その感じは日本のホラー映画の雰囲気だし、この幽霊が地下室の穴に這い入るところなどはコマ落としの手法を使って異様な動きにしてあり、明らかに「リング」のパクりです。ここにきて「悪魔の棲む家パート3-D」(1983)→「リング」(1998)→「ザ・ホール」(2009)というホラー演出の輪が完成しました(笑)。

弟は道化師の人形に襲われるようになります。これがなかなかいいんですね。人形はCGでははなくパペットを使ってちゃんと操作してあり、棒や糸をコンピューターで消すという処理のしかたで人形らしい動きがよく出ています。ここいらは「グレムリン」(1984)や「スモール・ソルジャーズ」(1998)でも活用した、ダンテの得意とするところです。
それでまたこの弟の子役が上手いんですよ。ネイザン・ギャンブルといってこのとき十歳。この二年後に出演した「イルカと少年」でイルカを助けるのがこの子だったんですね。かつてのマコーレイ・カルキンかハーレイ・ジョエル・オズメントかというくらいの芸達者です。まあ、オズメントとはちょっと褒め過ぎですかね(笑)。

実はこれらの心霊現象は自らの潜在意識の中にある恐怖が形となって現れるということだとわかります。そうすると兄の持つ心の闇である、暴力父による虐待の記憶がやがて蘇ってきて、その巨大な権化と対決することになります。
クライマックスはその穴の中に広がる異次元の世界で父の幻と相対するシークエンスで、いびつで狂った縮尺の部屋の様子はティム・バートン的なシュールな世界です。

そういうファンタジックで大がかりなセットを組んでいるところなどから、3Dには意欲的に取り組んだようです。実際、冒頭のなにげない住宅地の風景からして良好な立体で撮影してあります。
もちろん家の中や地下室の様子も奥行きを計算した構図になっており、庭のプールでの水遊びのシーンは特に美しい3D映像になっていていいですね。道化師人形の顔のクローズアップもあります。

当然ながら日本盤のブルーレイ3Dなど出ているわけもなく、安かったイタリア盤を買いました。通常仕様かと思っていたら届いたのはスティールブック版でブルーレイ3Dと2Dの二枚組。しかも2Dディスクのほうはアナグリフィック3Dの本編も収録してあり赤青めがねもちゃんと付いてます。3タイプ同時収録は珍しいですね。
日本語字幕は無いのでレンタルDVDを借りてきてせりふを確認しました。






180520

Texas Chainsaw 2013
「飛びだす・悪魔のいけにえ~レザーフェイス一家の逆襲」

かの有名なスプラッターホラーの傑作の、後日譚という内容です。「悪魔のいけにえ」(1974)は関連したタイトルでさまざまに新しい映画がつくられ続けていますが、シリーズものという形にはなっていません。オリジナル版の監督であるトビー・フーパーがその後手がけたのは1986年の続編「悪魔のいけにえ2」だけで、他のものはいずれもいろいろにアレンジしたり取って付けたりリメイクしたりと、いいように正編の名声を利用したものばかりです。つまりこの2013年の3D映画も「パート3-D」ではなく、シリーズ新作と思わせるような体裁をとった柳の下のドジョウの一匹というわけです。
私も全部見ているわけではないのでそれぞれとの比較はできませんけど、この映画は正編のエンディングに続くストーリーとなっています。ウィキペディアによると、「2」は正編の設定を踏まえた連続するストーリーになっているそうですけども、この2013年作はそれをいったん白紙にして新たな話にした、いわゆる「リブート」作ということのようです。

オープニングのタイトルバックで一作目のオリジナルフィルムを手際よく編集しダイジェストで見せてくれるので、「これまでのあらすじ」がパッとわかってなかなか好調な滑り出しです。ただしその後がいけません(笑)。
本編はヒッチハイカーたちの惨殺事件発覚後(一人生き残ったのがいましたよね)の出来事から始まります。かねて地域住民から問題視されていたその気違い家族を、もう勘弁ならんと自警団が集合してきて保安官の制止も聞かずに蜂の巣にしたうえ放火しすべて灰にしてしまうんですね。それを傍観していた保安官も、まあしゃあないなという感じで黙認。このへんいかにも、アメリカ南部社会の恐ろしさを描いてあって紋切型な感じではあります。
それで一家は根絶やしになったかというと、実はこのとき一人の乳児が秘密裏に助け出され、やがてその娘は自らの素性を知らないまま里親に育てられ成人する…というところからが本筋になっていきます。

何不自由なく育ったその娘は、ある日祖母の莫大な遺産を相続したという思いがけない知らせを受け取ります。恋人や友だちとテキサスにある祖母の家を見に行ってみると信じられないような大邸宅。これがすべて我がものに! とまあ誰もがうらやむような夢物語です。
ところがこの家には秘密の地下室があり、そこにはなんと抹殺されたはずのジェイソン、じゃなかったレザーフェイスがいるんですね。字幕無しで見たんで、そのへんどう説明されていたのかはわかりません。ロードショウのときに見に行ったものの、まったく思い出せません。私にはどうでもいいからです(笑)。
当然ながら同行の友人たちは全員チェインソーの露となります。しかしその娘が一族の末裔であることにラスト近くになって気づいたレザーフェイスは殺さずに助けてくれるんですね。なんと最後に至って殺人鬼レザーフェイスは、けっこういい奴だったというような描きかたをしてあって笑わせてくれます。
そんなような話で、ばかばかしいとはいえそれほどでたらめな演出というほどでもなく、画面に向かって突っ込みたくなるようなところも特にありません。つまり可も無し不可も無しというところで、最近のホラーファンは物足りないんじゃないでしょうか(笑)。

じゃあ3Dのほうはというと、これは意外といいです。きちんと自然に撮ってあり、屋内の暗い画面でもちゃんと立体感や奥行きが感じられますから上等です。スプラッターものにしてはカメラに向かって血しぶきやちぎれた腕やらが飛んでくるようなあざとい撮りかたをしていないところはいいですね。一カ所、壁の向こうからチェインソーの刃がガーッと向かってくるようなシーンがありますけど、これはこれでよく飛び出しておりけっこういいです。引いた画面で広い空間ばかりを見せるのではなく、クローズアップのカットも比較的多くて私好みですね。
日本盤はブルーレイ3Dとしては出ていないのでアメリカ盤を買いました。





180513

Amityville 3-D 1983
「悪魔の棲む家 Part 3」

ホラーものの3D映画はたくさんありますから、私のブルーレイ3Dコレクションにも自然と何枚も入ってきてしまいます。あまり歓迎してないんですけども(笑)。それでもやはり、ちゃんとステレオカメラで撮影されたものなら見てみようということで、この前「ファイナル・デスティネイション」シリーズを見ましたからこの機会に続けて片づけてみようと思います。
1980年代くらいまでさかのぼると、ヒット作がシリーズ化されていく傾向が生まれる中で、三作目を「パート3D」なんちゃって立体映画にしたものが何本かあります。まず「13日の金曜日パート3」が3Dで制作されたのが1982年。次いで「ジョーズ」と「悪魔の棲む家」が1983年ですね。
「悪魔の棲む家」の一作目(1979)はアミティヴィルという実在の町で起こった事件を元にしたベストセラー本が原作で、その後シリーズ化され七本も作られてますし、2005年にはマイケル・ベイ先生がリメイクもしています。

それで今でも人気があるのかどうかというバロメーターとしては、ビデオ商品の発売状況を見るのが手っ取り早いですね。アマゾンで検索してみると、出てくるのは一作目と2005年のリメイクばかりで、二作目以降のものは好事家向けにVHSが出品されているという程度なんですね。
一作目は今なお人気作であることは間違いないようで、アルティメットエディションなんていうDVDセットが2000年代に入ってからも発売されています。それでも一作目・リメイク版いずれも、ブルーレイディスクは出てないんですねー。ビミョーなところです。ツタヤで検索しても同様で、一作目とリメイク版のDVDがある以外はいずれもパッケージ画像の出てこないVHSの商品情報です。
結局、最初のは傑作かどうかは別として一定の評価を得ているものの、続くシリーズ化諸作はほとんど忘れ去られているというのが実情です。

ただこれがアメリカともなるとホラームーヴィーファンのすそ野は広いですから、ちゃんと商品化されてるんですね。三作目もちゃんとブルーレイ3Dでリリースされています。しかしさすがに向こうでも単体での発売は厳しいところだったのか、一作目から三作目までをセットにした「The Amityville Horror Trilogy」として出ています。しかたないのでボックスセットを買い込みました(笑)。でも安かったですよ。ボックスといってもスリップケース式の簡易箱で、海外の出品者から送料込みで二千円くらいで入手できました。
そういうわけでこの三作目も、レンタルDVDもありませんからせりふの確認もできませんでしたけど、まあ別にいいかって感じです(笑)。一作目二作目ともに見ないままこの3D映画を見てみました。雰囲気からすると、かつて凄惨な事件のあったいわくつきの家でまた巻き起こる新たなストーリー…というところです。

その家には怪しげな霊媒師がいて降霊の儀式を行っており、そこに客を装ったジャーナリストが潜入しそのトリックを暴きます。なあんだ…というところから話は始まり、当のジャーナリストがその家を買うか借りるかすることになって引っ越してきます。それからの展開は予想できる通りで、家の中で不可解な出来事が次々と起こり、呪われた家族は家の外でも怪奇現象に襲われるようになります。
しかし、それらの見せ場のそれぞれがなんだか面白味が無くてちんけなんですよね。突然地下室から冷気が噴出してきて凍えたり、乗ったエレベーターが急降下したりといったところは、おそらく監督の思い描いた恐怖感にはまったく到達してません。ちなみに監督はリチャード・フライシャー(『ミクロの決死圏』『トラ・トラ・トラ』など。私の好きな『ソイレント・グリーン』も撮ってます)で、一流ではあります。名前を貸しただけかもしれません。

恐怖シーンの中でもわりとよくできているのというと、湖でのボート遊びで誤って溺死してしまった娘が、同時刻に母のいる家にずぶ濡れになって帰ってくる幽体離脱のシーンと、最初の犠牲者となる人を撮った写真を現像するとその人の顔だけ歪んでいるという二つでしょうか。いずれも日本のホラー映画のようなタイプの演出で、特に後者は中田秀夫が「リング」でこれをパクったと思われます(でも『リング』のほうがずっとコワい)。
主演は知らない人ですが、同僚の写真家がキャンディ・クラークという女優で、ちょっとキム・ベイシンガーに似てるなあと思いながら見てました。後で調べたらこの人、「アメリカン・グラフィティ」に出ていた金髪巻き毛のおねいちゃんでした。
あとは娘の友だちで若き日のメグ・ライアンが出ています。このときはまったくのちょい役で、誰が演じても同じという感じなんですが、映画サイトやビデオのレヴューなどのデータ欄をあたるとそのことが必ず書いてあるんですね。そのくらい、他に書くことの無い映画ってことなんですよ(笑)。

それで3Dのほうはというと、悪くはないが特筆すべき点も無いというところで、わりと普通に撮ってあります。この手の映画だとほぼ例外なく、こちらに向けて手や棒を突き出してくるようなカットがあるものなんですが、この映画には不思議とそれがほとんど無く、自然な立体感で見ることができるという点で好感が持てます
ひとつ気がついたのは、レンズの色収差がもたらす影響です。これは光学レンズの性質で、画面の外周部に写った物の輪郭に色ずれが起こる現象のことです。昔の映画ではわりと普通にあるもので、2Dで見るときはそれほどうるさく言うほどでもないんですけど、3Dだとこれがけっこう気になるということがわかりました。
この映画は色収差が激しくて、画面の左側右側に写っているものはどれも赤や緑に輪郭が少しずれています。この部分が3Dで見るとえらく邪魔な要素となるんですね。ある意味ではピンぼけのほうがまだましといえるかもしれません。







180422

Final Destination 5 2011
「ファイナル・デッドブリッジ」

先週見た「ファイナル・デッドサーキット」(2009)に続いて「5」も見てみました。これも変換3Dではなくステレオカメラで撮影されています。
前作と監督が代わったからかどうか、コメディ色が排されシリアスな演出になりました。それだけでなく全体に緊迫感が高くて、「デッドサーキット」とは打って変わって見ごたえのある映画になっています。
特に冒頭の巨大吊り橋崩落のシーンのスペクタクル度は相当なものです。その分スプラッター度は抑えられているかというとそんなことはなくて、わが国では3D映画初のR18+指定を受けたそうです。

その橋の崩落の場面で犠牲者がひとまず全員死にます(笑)。それが前作のようなおふざけは無しで悲惨な死にかたが描かれるんですね。単に橋から落ちるだけというのではなく、ちぎれて跳ねたワイヤーに当たってふっ飛ばされたり工事車両に積まれた鉄筋や鉄板が飛んできたり舗装工事用の熱いアスファルトを浴びたりと無茶苦茶なんですけど、これが笑えない雰囲気なんですよ。
落ちていく人を垂直に見下ろすカットがあり、だんだん小さくなって最後に橋脚のコンクリートに当たった瞬間、そこに大量の血が飛び散るという描写があります。これをワンカットでゆっくりと見せるところなどは、これからこの映画では容赦のない恐怖演出をしていきまっせという宣告を突き付けられたように感じます。

特典映像には未公開シーンが収められているんですが、これを見ると犠牲者のひとりがビルの窓から落ちて死ぬところに別ヴァージョンがあったことがわかります。これがビルの外の通行人の視点で、窓から足を踏み外してそのまま下の車に落ちるところがワンカットで撮ってあります。これは黒沢清が「回路」(2000)でやった見せかたで、怖いんですよ。さすがにこれはアメリカでは無理だったみたいでボツになったんですね。監督はさぞ残念がったことでしょう。

さてそれで肝心の3Dのほうですけど、これが前作を上回る出来ばえで素晴らしいですね。ことに私の好きなクローズアップが多用してあり、しかもマクロ撮影までありますからなお気に入りました。女性の目を画面いっぱいに写しだすんですけど、まつ毛はにょきにょき生えているしまぶたと眼球の段差もくっきりと出ています。
逆に体育館や工場などの広い空間もしっかりとその奥行きが再現されてるし、またタイトルロールのCGも立体効果満点に作ってあり、今作も3Dに関して見識の高い撮影監督が手がけたようです。

この映画でもうひとつ面白いのは、ラストシーンがシリーズ第一作につながっていく設定になっているところです。生き残った主人公二人がパリに引っ越すことになり、それで乗り込んだ飛行機があの事故機だったというもので、一作目のシーンをうまく取り入れて編集してあります。
それがなかなかうまくできていたため、ちょっと一作目からまた見直してみようかなという気になりかかっているというのが困ったところです(笑)。どうしましょうかねー。

ところでこのブルーレイ3D、日本盤も出ているんですが私はイタリア盤を買いました。実は日本語字幕がちゃんと入ってるんですよ。パッケージにはその表記は無いんですけどね、ヤフーオークションで探したら商品説明に吹き替え字幕ありと書いてあって半信半疑で買ってみたところほんとでした。日本盤よりだいぶ安く入手できました。




180415

The Final Destination 2009
「ファイナル・デッドサーキット」

「ファイナル・デスティネイション」(2000)のシリーズは四作目と五作目が3Dで製作されました。一作目と二作目くらいまではロードショウを見に行ったと記憶していますが、あまりのしょうもなさに三作目はたしか見に行きませんでした。しかし四作目が3Dでも上映されましたからこれは行ったんですね。でもやはりつまらないことに変わりはなく、五作目は結局見ずじまいです。
その後US版ウィキペディアの3D映画のデータを見ると、四作目五作目ともにコンヴァーテッドではなくステレオカメラで撮影されたものだとわかりましたので、ブルーレイ3Dで見直してみることにしました。

日本盤のブルーレイディスクは3D版も出てはいるもののこれが赤青式のアナグリフィックなんですねー。この頃はまだ3Dテレビが普及してなかったからとはいえブルーレイディスクでアナグリフィックじゃどうしようもありません。他には「コラライン」(2009)や「センター・オブ・ジ・アース」(2008)がアナグリフィック式のブルーレイディスクで発売されています。
そういうわけで、またしかたなく輸入盤のブルーレイ3Dを買いました。ロードショウでいっぺん見たのでストーリーは思い出すだろうと、レンタルDVDを借りてきてのせりふの確認はしていません。

映画のタイプとしてはアクションスプラッターホラーという感じですね。一作目はたしか旅客機の事故で登場人物が死んでしまうのを阻止しようと主人公が奮闘するというものだったと思います。若い新人俳優をたくさん出したショーケース的な映画だったんじゃなかったですかね。
今回改めて見た四作目は、前作までと話がつながっているのかどうかはよくわかりませんし調べる気にもならないんですが、これだけで見ても問題ないというかはっきり言ってそのへんどうでもいいというか(笑)。

どういう設定になっているのか知りませんけど、とにかく主人公の坊主が「デッドゾーン」みたいに将来起こる惨事の予知夢を見てしまうんですね。映画の冒頭では何人かの友だちとカーレースを見に来ていて、そこでクラッシュが起きて観客がおおぜい死んでしまうことを直前になって知ります。
そこで主人公は必死になって事故に巻き込まれる予定の人たちをレース場の外に連れ出すことに成功。なんだなんだとわけがわからずついてきた連中は腹を立てますが、その直後に会場内が事故で大騒ぎとなりみんなは青くなります。
ところがこれで一件落着となるかというと、結局その人たちは間もなく一人またひとりと悲惨な事故で死んでいく…という展開ですね。

話自体はよくある運命論的なもので、閻魔帳にいったん名前が載った者はとにかく死んでいただきますというようなことです。ストーリー自体は古典的で単純なものですから、要はその者たちの死にざまをどう見せるかというところにつきる見世物映画ですね。
あらかじめ死ぬことがわかっている登場人物が、ははあこれはこういう死にかただなと観客の思った通りに死んでいくんですね。首が飛んだり胴に穴が開いたりと、これがもうほとんどおふざけと言ってもいいあからさまなスプラッターぶりで、人が死ぬたびに大笑いできるようになっています。

ホームビデオが普及した一時期、カルト映画好きがソフト化された珍しい映画をポップコーン片手に笑いながら見るというようなスタイルがはやったものです。それに通ずるような感覚で、本来スリラーであるはずのホラーがコメディ化するという状態、これは「スクリーム」(1996)あたりからの傾向でしょうか。
あり得ないような偶然のシチュエイションで事故が起こり人の首が飛んだりするような見せかたというと「オーメン」(1976)を思い出します(詳しい人に言わせればもっと他に嚆矢となる映画があるとは思いますが)。あれなんかはほんとにショッキングな演出で、夢に出てきそうな怖さがありましたね。

それでこの「デッドサーキット」ですけど、前作までも同様だったのかどうかは置いといて、小さなきっかけから事態が大きくなりついに惨事に発展するという仕掛けがとにかく凝ってます。昼休みで無人になった作業現場で、置かれた眼鏡に射した日光が収斂し火災が発生、その側では無造作に置かれた物が転がり落ちて台車のストッパーが外れ可燃ガスのボンベがそろそろと火に近づき…といった具合で、いかにも子どもの喜びそうな因果をクローズアップで見せていきます。さながらルーブ・ゴールドバーグ・マシーン(いわゆるピタゴラ装置)です。
監督は持てるエネルギーの半分以上をピタゴラ装置の設定と面白い死なせかたの演出に費やしています。まあご苦労さんって感じで、好きな人はどうぞお楽しみくださいというしかありません。

では3Dのほうはどうかというと、これは捨てたものじゃありません。開巻と同時に激しいカーレースの様子がサーキットの路面すれすれの位置のカメラで映しだされます。これがおおっというくらい迫力のある立体になっており、このへんはやはりステレオカメラでちゃんと撮影した3Dならではです。
また意外にも奇をてらった撮りかたをしておらず、カメラに向かって物を突き出してくるようなアナクロな見せかたをほとんどしてないんですね。これはこの手の映画としては常識的には不可解といってもいいほどで、3D撮影の担当者は一家言ありとみました。非常にナチュラルにその場の空間を見せるという抑制のきいた立体映像には感心しました。






180408

「とびだすアニメ!! ヒピラくん」 2011

大友克洋原作の絵本をアニメ化したものです。一話が五分程度の短編でサンライズとバンダイが製作しています。元はNHKで放送されたらしく内容は子ども向けですが、このブルーレイ3Dにはわずか四話しか収録されておらず、各エピソードは続きものではないとはいえまったく尻切れとんぼに終わっているんですね。
なぜこんなに中途半端なビデオが発売されるのかとウィキペディアで調べてみたら、全十二話のうち3D版が作られたのがこの四エピソードだけだったということらしいんですね。なんでもパナソニックの3Dテレビのデモ映像用にダイジェスト版が制作され、それが発展してバンダイビジュアルが四話分を作ったといういきさつだそうです。

それにしても、たった四話分つまり二十分程度しかないソースでブルーレイ3Dを発売しようてんですからバンダイも強気なもんです。特典映像も「3Dプロモーション映像」として十五秒・三十秒・九十秒の予告編が収録されているだけという愛想の無さ。
予告編のうち十五秒と三十秒のはこのブルーレイ3DのCMになってるんですが、九十秒のはせりふやナレーション・字幕も抜きの映像だけですから、これが元々パナソニック向けに作られたものなんじゃないでしょうか。四エピソードの中には出てこないシーンもあったりします。
ディスクの収録時間は全体でも二十三分しかありませんし、各エピソードのタイトルバックとエンドクレジッツは共通のものですから正味二十分以下。それで販売価格は三千八百円とべらぼうです。定価で買った人はおそらく全員がその点を大いに不満と感じたことでしょう。

それで内容のほうもひどかったらカンカンてとこですけど、それほどひどくはありません(笑)。手描きの絵をコンピューターに取り込んでディジタルアニメーションにするという、今では主流となった手法です。その元の絵がなかなか精緻に描き込んであり、ティム・バートン的なダークな世界観を作り上げています。
ヴァンパイアの国が舞台で、そこの落ちこぼれの小学生ヒピラくんが主人公です。話は面白いかというとぜんぜんたいしたことなくて、まったく毒にも薬にもならないほのぼのさは極めてNHK的です。
ただ3Dはけっこういいです。手数の多い絵とはいっても平面の原画ですからどうしても書き割り的になってしまいがちなところを、かなりがんばって凸凹作ってありますし奥行きも出ています。顔のアップのようなカットだけはどうしようもないですけどね。

絵本が出版されたのが2001年、アニメが放送されたのが2009年。3D版が制作され国際3Dアワードというのがあってそれを受賞したのが2011年です。ひょっとするとこれ、パトリス・ルコントの「スーサイド・ショップ」(2012)に大きなインスピレイションを与えた、というかルコントが「ヒピラくん」3D版を見てパクったんじゃないかという可能性もあります。ビジュアル全体の雰囲気がそっくりなんですね。しかも立体感は「ヒピラくん」のほうがよく出ています。

当然バンダイとしても全話を3D化したかったとは思いますが、予算が合わなかったんでしょうね。日本国内の衛星放送のみの子ども向け短編という枠ではこれが精いっぱいだったのかもしれません。





180318

■The Adventures of Sharkboy and Lavagirl 2005
■「スパイキッズ4D: ワールドタイム・ミッション」
  Spy Kids 4: All the Time in the World 2011

先週見た「スパイキッズ3」は海外盤のブルーレイ3Dなんですが、これがダブルフィーチュアの二枚組になっていて、もう一枚のほうが二年後に作った「シャークボーイ&マグマガール」なんですね。「スパイキッズ」シリーズと違ってほとんど話題にもならないような泡沫作となってしまいましたから、当然日本盤は出てません。2006年に赤青式のアナグリフィックで日本盤DVDが発売されてますけど、その後は2D版のブルーレイディスクにすらなっていません。
この映画は劇場公開のときも「スパイキッズ3」と同様アナグリフィックでの上映でした。また子ども向け映画かよと大して期待もせず見に行き、内容もぱっとしませんでしたからほとんど記憶にありませんでした。

創作者にとって、夢に出てきた話や子どもの空想ごとに着想したファンタシーというのは一種のステイタスなのかもしれません。「不思議の国のアリス」もそんな感じだし、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」もそうです。この「シャークボーイ~」は、ロバート・ロドリゲズの子どもが絵を描いて父に聞かせた話を元にしたものだそうです。
主人公の夢見がちな小学生が絵日記に描いていた空想のヒーローとヒロイン、シャークボーイとラヴァガールが現実に現れて、自分たちの国がピンチなのでキミにぜひ助けてほしいと訴えてくるという、まあ子どもにしてみればそれこそ夢のような冒険ストーリーです。
ちなみに邦題ではマグマガールと訳されたLavagirlですね、lavaてなんだろうと調べてみたら英語で溶岩のことでした。じゃあマグマと溶岩はどう違うのかというと、地中にあるうちはマグマでそれが地表に現れると溶岩と呼ぶわけです。ひとつ物知りになりました。

ただ、話は面白くありません(笑)。主人公の子どもとシャークボーイ、ラヴァガールいずれももうひとつ魅力に欠けるキャラクターだし子役もなにか物足りません。シャークボーイ役の男の子のテイラー・ロートナーというのは意外とダンスがうまくて、その後成功してるのかどうかフィルモグラフィを見ると「トワイライト」というヴァンパイア映画のシリーズにすべて出ているらしくて、それなりに活躍しているみたいですね。
大人の配役でも大物が出ているわけではなく、悪者役のおっさんはオリヴァー・プラット似のメキシコ人コメディアンでこれももうひとつ迫力ないんですね。あとはアークエット兄弟の一人が見たことあるだけです。

3Dと特殊効果についても「スパイキッズ3」と同じで、ほとんどの背景がグリーンスクリーンによるディジタル合成です。住宅地の道端でのシーンなど普通にロケ撮影しそうなところでもよく見たら背景はCGだという感じです。
それで、実写とCGの合成部分は前作よりは向上しているとはいえ3Dで見るとまだまだ不自然なんですよね。やはり2000年代に入っていても発展途上の技術だったんですね。
結局、映画としての面白味という点では「スパイキッズ3」と比べて優れた部分があまりなくて、勢いでもう一本撮ってみたというところなんでしょうけど、ロドリゲズにとってはCGIと3Dの技術習得のために経験をひとつ積んだというだけもののように思えてしまいます。

さて、ロドリゲズはその後も3D映画に取り組み続け、「シン・シティ」の続編(2013)でまたグリーンバック合成による3Dヴィジョンに挑戦します。それに先立つ2011年、七年ぶりで「スパイキッズ」の続編を撮りました。その四作目は主要キャストを一新しての再スタートを切りたかった…のかどうか。まあこれじゃ無理だわなって感じです(笑)。
新しいスパイキッズの二人の子役がどうにもダメダメで、よくこんなのをオーディションに合格させたなあと納得いきません。その両親はどうかというと、ママ役の人気女優ジェシカ・アルバはまだましなほう。パパ役は見たことのない人でこれもまるで存在感無しです。
悪役がジェレミー・ピヴェンで、これはまあいいんですけどねー芸達者とはいえもうちょっと他に適役がいたんじゃないのという気にさせます。

それになんとこの映画、変換3Dなんですよ。これまでのロドリゲズの3D作と違って、多くのシーンがグリーンスクリーン合成ではない普通に撮影したシークエンスで構成された映画ですから、ステレオカメラ撮影は予算に見合わなかったんでしょうかね。変換の精度もまだ悪くて、今見るとコンヴァーテッドなのは一目瞭然です。せっかく日本盤のブルーレイ3Dが出たというのに、それが変換ものじゃがっかりです。

そこでなにか話題になるなにかを盛り込もうということなのか、こすると匂いの出る「アロマ・スコープ」カードが付いています。劇場公開のときも配布されましたし、ブルーレイディスクにも八枚付属してます。これは1から8までの番号のあるカードで、劇中ところどころでその番号が指示されると観客はカードの番号の部分をこすります。するとそのシーンに見えているものの匂いがして臨場感が出るというおふざけです。
これはジョン・ウォーターズが「ポリエステル」(1981)でやったことで、やはりもっともらしくオドラマシステムと名付けてありました。私はこの映画を日本語版のビデオで見ましたけど、VHSのソフトにはちゃんとオドラマカードが付いてたんですねー。なんだか奇妙なにおいばかりだったと記憶しています。
ロドリゲズのアロマスコープは、おそらくウォーターズのオドラマ以来の試みなんじゃないでしょうか。あくまでB級テイストを追求する人です。でも親から苦情が来ないようにわりと無難に甘いフルーツ系のにおいばかりにしてありました(笑)。







180311

Spy Kids 3-D: Game Over 2003
「スパイキッズ3-D: ゲームオーバー」

人気シリーズの三作目は、B級映画おたくロバート・ロドリゲズとしては当然のように3D映画となりました。ただ2003年はまだ現在のようにディジタル3D上映システムが普及する少し前ですから、赤青式のアナグリフィック方式で上映されました(しかしロドリゲズはむしろアナグリフィックのほうがB級ぽくて好みだったかもしれません)。
その後ビデオソフト化された際にも、赤青めがねが付属するパッケージで発売されましたが、ブルーレイ3Dとしてリリースされてようやくフルカラーの鮮明な画像で見ることができるようになりました。
ところがこれがわが国ではブルーレイ3Dは発売されてません。またかって感じですけども2D版のみなんですね。しかたがないので海外盤を買って字幕無しで見ました。

そもそもこの「スパイキッズ」、最初は2001年に制作されました。子ども向けとはいえ大人も楽しめる出来になっていて、ほおーロドリゲズはこんなこともできるのかいと大いに感心したものです。さっそく翌年に続編、またその次の年に三作目と快調に三部作をリリースしました。
今回は1・2は見直しはしませんでしたが、やはり3が面白かったのでまた見てみたくなりました。ストーリー的には3は前二作とは少し離れた内容になってるんじゃないですかね。「トロン」のような、ヴィデオゲーム内部に転送されヴァーチャル空間で主人公が活躍するアドヴェンチャーアクションになっているところが今日的です。

ロードショウで赤青めがねで見たときは、立体感があまり感じられなくてなんだかおちゃらけた話でごまかされたような気がしました。しかし今回改めてブルーレイ3Dで見たら、意外と良かったんですね。
手法としてはそのほとんどすべてがグリーンバックで合成したCGIです。しかし背景は今見るとほんとププッとなるくらい稚拙なCGです。まあ実際はヴィデオゲームという設定ですからわざとチープな感じのCGにしたんだろうとは思います。
それよりも問題なのはその合成の精度です。これがまあなんと3Dでの抜き合わせはずれまくりなんですよ(笑)。難しかったんでしょうね。アナグリフィックで見るとあまり感じませんけど、ブルーレイ3Dで見るともうずれずれ。

でも、そこはなぜかあまり気にならないというか笑って見過ごせるというか。むしろロドリゲズのチャレンジスピリットに拍手したいほうです。このときの経験無くして「シン・シティ」(2005)は無かったでしょうね。
ですから3D効果についてはほぼCGアニメと同等のレベルです。実写部分はちゃんとステレオカメラで撮影してあります。始めにヴァーチャル空間に入っていくところのタイムトンネルみたいなローラーコースターシークエンスは、迫力の立体感です。
技術的にはそれほど優れてないながら、全体的にはなかなか楽しい3Dになっているという、ロドリゲズらしい出来ばえです。この映画でもやはり、撮影と編集も自ら手がけています。

出演者は前二作のメンバー総出演です。主人公は弟のジュニで、この一人舞台かとも思わせておいて中盤以降に姉カルメンをはじめアントーニオ・ヴァンデラスにカーラ・グジーノ、ダニー・トレホ、チーチ・マリン、スティーヴ・ブシェーミ、ビル・パクストン、トニー・シャルーブが全員集合するところがうまい演出です。
しかも悪役にシルヴェスター・スタローン、大統領はジョージ・クルーニーと超豪華キャストで、そのうえイライジャ・ウッドまで顔見せします。






180218

September Storm 1960

公開当時のポスターをアレンジしたパッケージアートを見るとジョーズもどき映画かとも思えますが、トレジャーハンティングものアドヴェンチャーです。しかし仮にジョーズものだったとしても、先週見た「A*P*E」を超えるものなどあり得ませんからその点では安心です(笑)。まあでも見てみると至って普通の娯楽映画で、B級映画的なきわもの感はありません。
たしかにサメはちゃんと出てくるし、タイトルにもなっている嵐のシーンもあっていちおうスペクタクル映画の要素は盛り込んであるものの、特段ハラハラドキドキさせるような演出には至っていません。

つまりどうということのない映画かというと、3Dのほうは見ごたえ充分です。地中海を舞台に、沈没した船に積まれた金貨を狙って四人の男女がヨットで冒険の旅に出る話で、海上だけでなく島での出来事なども素晴らしい立体映像にしてあります。
これがことさらに3Dであることを強調するような撮りかたをまったくしておらず、「自然に見える3D」を目指しているところがいいですね。カメラマンはきっと立体映像については哲学を持っている人だろうと思います。サメが襲ってくるシーンですら、鼻先をこちらに突き出してくるようなアングルにはしてありません。

広い海原に浮かぶヨットを見せるところでは、海面を斜めに見下ろす角度がよく出ています。こういう遠景では海面の立体感は普通は出しにくいんですよね。ダンスホールや劇場などの屋内シーンも奥行きがあって空間ができています。
水中撮影も素晴らしいです。「大アマゾンの半魚人」(1954)もすごい水中撮影でしたけど、こちらはシネマスコープのカラーで迫力があります。
惜しいのはやはりフィルムカメラの限界というところで、被写界深度を取るのに苦労したみたいで背景のほうにフォーカスが合って手前の被写体の俳優がピンぼけになっているようなカットがいくつか見られます。

これで話も面白ければもっと良かったんですが普通です(笑)。盛り上がりに欠ける平板な展開で、せりふがわかったとしてもたぶん同じだったでしょう。雰囲気としてはフランスの「冒険者たち」(1967)をちょっと思い出しもするとはいえ、いかんせん登場人物に魅力が無さすぎで有名な俳優もいません。
わが国では劇場公開はされておらず、「欲望を呼ぶ嵐」の邦題でテレビ放映だけされたようですから、3D版はブルーレイ3Dで初めて見ることができたわけですね。監督のバイロン・ハスキンはかの有名なSFの古典「宇宙戦争」(1953)の監督です。

ブルーレイ3Dには特典映像として古い立体映画の短編が収録されています。「September Storm」とは無関係ですが、3-D・フィルム・アーカイヴが修復を手がけたイギリスのミュージカルフィルム「Harmony Lane」(1953)で、これがなかなかいいです。ほとんどせりふの無い、踊りと歌のオムニバス形式の白黒映画ですね。背景を書き割りにした舞台様式にしてあるのでかえって立体感が強調されています。





180211

A*P*E 1976

いやすごいものを見ました。もうなんと申し上げたらよいやら言葉が見つからないと言いたいところですがそうもいってられないのでちょっと説明すると、これ韓国アメリカの合作でキングコングもどきのウルトラB級映画です。
舞台はアメリカ軍の駐留する韓国のどこかの街。タンカーに載せられどこからか連れてこられた巨大ゴリラが船から脱出し海に逃げます。そこにたまたま通りかかった巨大ザメと格闘、思ったとおりサメの口を引き裂いて仕留めます。
タンカーのミニチュアはたぶんベニヤ板かなにかで作って中に爆竹を仕込んだものをたらいに浮かべて撮影してるんだろうと思います。サメはビニール製の1メートルくらいのおもちゃです。このあとも大ヘビとの対決シーン(生きた本物使用)もあるんですけど、いったいどんな縮尺で設定してあるんだかもうむちゃくちゃです。ケンチャナヨーてな感じでしょうか(笑)。

開巻からいきなりこのタンカー破壊&サメとの決闘シーンで始まります。二人の船員が「やあどうだい」「いやー猿はおとなしく寝てるし、ひまだね~」みたいなユルい会話をしていたかと思うと、もう始まって一分くらいで巨大ゴリラ登場です。誰がどこでどうやってこの怪物をタンカーにぶち込みそれをこれからどうするつもりなのかといった説明は一切抜きで、まるで「もうしちめんどくさい話は要らんだろ?」とばかりにアクションシーンの連発です。
ただそのアクションが見ごたえのあるものならいいんですけど、そうではありません(笑)。特撮が素晴らしいならそれはそれでいいとも言えますがそうでもありません。すごいのは、こんな映画が実際に制作され公開もされたということです。これは冗談抜きで本当にすごいことだと思います。さらに驚くのが、制作から四十年を経てディジタルリストアされたフィルムがブルーレイ3Dになって発売され、私のようなもの好きが今こうして見ることができるという事実です。

出演者はアメリカ人が中心で英語劇です。韓国映画に出演するためハリウッドから招かれた美人女優とその恋人、駐留アメリカ軍の司令官らと韓国軍の士官もひとり英語の達者な人が出てきてああでもないこうでもないとやり合います。俳優たちはみんな真剣に演じているだけに、全体を覆う極端なテキトーさとの落差が激しいです。
凶暴な巨大ゴリラが上陸したともなれば街は上を下への大騒ぎになるはずのところ、空を指さしながら避難する群衆がある一方で家の中ではのんびり飯食ったり子どもが遊んだりしています。やはり窓からコングが、あーいやコングじゃない「エイプ」ですね、これが覗き込んでキャーと言わせなければスペクタクルじゃないというわけです。しかたありませんか(笑)。
米韓連合軍もさっぱり事態を把握できず、司令官はいつまで経っても「そんなバナナ!」みたいに電話に向かって怒鳴り続けるばかり。だいたいこの映画のせりふの半分くらいは電話の会話で占められています。

低予算には違いないとはいえアメリカ軍の協力を得ており、戦車や装甲車・ヘリコプターなど本物の兵器がたくさん出てくるところはなかなかのものですが、それらがただ単に画面の右から左に次々と移動していくだけという見せかたには、「わかったからもういいよ」と何度か画面に向かって話しかけてしまいました(笑)。
しかしこれ1976年なんですよね。見ているときは1970年前後のフィルムかと思っていたら76年。なんとジョン・ギラーミンの「キング・コング」と同じ年ですから極東を舞台にしたパクり映画というわけです。ちなみに「ジョーズ」は1975年です。
中でも最高なのが、軍隊から激しい攻撃を受けるシーンでのことです。襲いかかる戦闘ヘリコプターを叩き落としたときに中指を突き立てて「ファックユー!」のポーズをとったのにはぶったまげました。ゴジラが「シェー」をやるのならコングはファッキューヤンキーだぜてなところでしょうか。

まあそんないちいち挙げていたらほんときりが無いくらい突っ込みどころだけで構成されているような映画です。
それで肝心の3Dもぜんぜんダメだったらディスクを叩き割ってやりたいところですけど、3Dは意外といいです。冒頭の船員の顔のアップも、おおというくらい目鼻立ちがはっきりつかめる立体効果が出てますし、ロケのシーンもきちんと遠近感出ていて立派です。
お決まりの、カメラに向かっていろんなものを突き出してくるカットがいくつもあります。ところがこれがけっこう飛び出してくるんですねーこの見せかたでちゃんと立体感出ている3D映画はなかなかありません。特に火矢を放つところがあってワイアーで手前まで誘導する古典的な手法ですが、かなりの迫力で立体視できるのには拍手を送りたいですね。
こんなゴミ映画でも3-D・フィルム・アーカイヴがわざわざフィルム修復に乗り出した理由はちゃんとあったわけです。






180121

The Stewardesses 1969

ポルノ映画です。といっても1969年制作でハードな場面の無いソフトコア映画ですね。B級映画やエロものは3Dと結びつきやすいカテゴリーですから、これが唯一の3Dポルノというわけではありません。ただこうしてフィルムが修復されブルーレイ3Dとしてリリースされるというのも、これがなんと「アバター」以前の立体映画のうち最も高収益を上げた作品だからなんですね。
ウィキペディア英語版によると、制作費十万ドルに対し二千五百万ドルの総利益を1970年に計上したとのことです。その計算のしかたはよくわかりませんけど、要は「ダイアルMを廻せ」よりも「肉の蝋人形」よりも、はたまた「大アマゾンの半魚人」よりも儲かったということです。

そう聞くとさぞかし面白い映画なんだろうなどと思ってしまいますがぜんぜんそんなことはなくて(笑)、はっきり言って映画としてはゴミ同然です。ストーリーはほぼ無いに等しく、単にスチュワーデスたちが勤務時間外に遊びまくっている様子を追っているだけというもので、わが国のピンク映画とさほど変わりがありません。
にっかつロマンポルノで映画会社が監督に出した条件は、上映時間内に一定の数のセックスシーンを盛り込みさえすれば、あとは何をしてもいいというものだったそうです。超低予算下での制作は厳しいものだったに違いないとはいえ、「なにをしてもいい」というところで、才能のある映像作家がさまざまに試行し修練した場でもあったわけですね。

この「スチュワーデセズ」も、まさにそんな感じなんですよ。こりゃ16ミリなんじゃないかとさえ思えるような画質で、撮りかたもほとんど学生映画のような素人ぽさ。せりふがよく聞こえない貧弱な録音、演技とは言えないような素人芝居、稚拙な演出と、何からなにまで徹底的にチープな作りです。
その代わり裸やセックスシーンは見ごたえがある…かというとそれもまるでなってないという、まったく情けなくなってくる要素だけで成り立っている映画です。つまり私にとっては3Dであるところだけが取り柄といっていいものなんですね(笑)。
3Dのほうは、本格的なステレオカメラではなく簡易型のシステムではありますけどちゃんとステレオで撮ってありますから、わりと立体感は出てます。

結局のところ、この映画がそんなに大受けしたという理由はまるで見当がつきません。これが「エマニエル夫人」だったとしたら納得ですけどねー日本人でこの映画のこと知ってる人はほとんどいないんじゃないでしょうか。
でも当時劇場公開はされてます。邦題は「淫魔」というもので、なぜ「スチュワーデス」の語を使わずに簡潔なタイトルにしたのかちょっと腑に落ちません。私が配給会社の担当者だったら「淫魔~超ミニスカあばずれスチュワーデスたちのビッチな夜・あっけらかんと飛び出すカジュアルセックス!」みたいにしたと思います。これで映画の内容をほぼすべて表しています。

ブルーレイ3Dには特典映像として1977年制作の3D短編「Experiments in Love」というのも収録されています。これは三十分ものでやはりポルノですが、興行目的というよりは映画関係者向けの3Dのデモンストレイションを目的としたフィルムのようです。
いちおうコメディタッチの寸劇になっており、立体ポルノって凄いのよということを説明しています。こんなのを作って出資者に見せ、制作資金を募っていたんじゃないでしょうか。まあ珍品ではありますね。





180114

「ファインディング・ニモ」
Finding Nemo 2003

このところピクサーづいてます。この前見た「ファインディング・ドリー」が良かったので、ついでに「ニモ」をもう一度見てみました。ブルーレイ3Dがレンタルで出ています。
2003年公開の「ファインディング・ニモ」は当初は2Dのみで制作されましたが、十年後に3D化され劇場公開もされています。私もこのときロードショウで3D版を見ました。吹き替えのみの上映で嫌でしたけど、見てみるとマーリンの木梨憲武が熱演だったんで感心しました。

五年ぶりくらいで、今度はブルーレイ3Dでの再見です。そうするとやはり、CGの精度の差に愕然とするほどでした。まあ元は十年以上前のCGですからその差が歴然としているのは当たり前ではありますね。しかし同じキャラクターが描かれた続編と続けて見比べると、まるで違う感触がします。
「ニモ」のほうのマーリンやニモ、ドリーのテクスチュアは、今見るとかなり古さを感じさせるもので、あーやっぱりそうだよなと思えます。CGの場合、古いものはただ古さを感じさせるだけで、はっきり言えば見苦しいというところがありますね。むしろCG創世記の、今では家庭用のPCでも描けそうな単純なCGアニメーションのほうが味があると言えるほどです。つまりいかなピクサーのものといえども、2000年代初頭くらいのCGは「中途半端に古い」んですね。

では3D化の部分はどうかというと、これはけっこういいです。「ドリー」ほどではないものの、海の中の様子はなかなかいい感じに立体感を出してあります。
私はCGの技術的なところの知識はまったく無いですが、理屈からいって画像データ自体はもともと3Dで演算してあるはずですよね。つまりコンピューター内で3Dの仮想空間を作り、これをひとつの仮想カメラで撮影して当初の2D版のフィルムが作られているということでしょう。
だからピクサーとしては制作した時の3Dのデータを再び取り出して、今度はそれをステレオカメラで撮影するように設定すればいいわけですね。実写映画の3D変換よりもずっと簡単なプロセスで3D版を作ることができる…んじゃないでしょうか。

もっともそこで大事なのは、機械的にカメラの数をただ二つに増やすだけじゃなくて立体効果が出るような演出を施すことですから、実際にはかなり手を加えてあるとは思います。初めから3D版制作を前提とした「ドリー」のほうがいろいろな面で優れているのは当然としても、フルCGの利点でもって違和感のない立体映像に仕上がっています。
ただなんというか、海の中の水の感じがちょっと見通しが良すぎるように思えました。水で満たされている感触が少々足りなくて、なにも無い大気中のようなイメージになっているようです。おそらく映像だけでなく、音響デザインも大いに関係しているかもしれません。





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